知名度: 5.0
発見難易度: 5.0
ユニコーンとは
ユニコーン(一角獣)は額の中央に角を生やした、馬に似た伝説の生き物である。
非常に獰猛な生き物だが人間の力で殺すことができ、角には解毒作用があるとされている。
ゾウに劣らない強さと、ウマやシカにも劣らない足の速さを持つ。額の中央に生えている角は非常に鋭く、どんなものでも突き通す。
処女に抱かれると大人しくなるといわれており、ユニコーンが処女に抱かれている絵画が残されている。
ユニコーンのいい伝え
ヨーロッパにユニコーンを最初に伝えたのは医師・歴史家、クテシアスであり、『インド誌』(Τα Ἰνδικά, 前390年頃)第45節には、次のように記されている。
インドには、ウマぐらいの大きさか、もしくはそれ以上の大きさの野生のロバがいる。その体は白く、頭は暗赤色で、目は紺色、そして、額に縦 1 キュビット(約 44.46 センチメートル)ほどの長さの一本の角を持つ。角の根元、額から約 2 パーム(約 14.25 センチメートル)の所は純白で、真ん中は黒く、尖った先端は燃えるような深紅色である。(一部抜粋)
ユニコーンの特徴は現在の記述とほとんど変わっていない。他にも解毒効果や足の速さ、獰猛さの記述もこの頃から残されていた。
その後も研究者たちによりさまざまな説が挙げられ、鳴き声や特性、別の生物と見間違えたのではないかという声もあがっている。
各国の民話で受け継がれるユニコーンの性格
ユニコーンは可愛らしいキャラクターとして描かれることが多いが、実際は凶暴かつ傲慢な野獣だったといわれている。
ポーランド民話では以下の以下のような記述がある。
ノアがあらゆる獣のつがいを方舟に入れた時、ユニコーンもまた受け入れた。ところがユニコーンは他の獣を見境もなく突いたので、ノアは躊躇なくユニコーンを水の中に投げ込んだ。だから今ではユニコーンはいない。–『ポーランド民話』
神話上で神々によって起こされたとされている大洪水以前の生き物だとされている。
小ロシア民話でも同様に、傲慢な性格のせいで自滅したとの記述がある。
ノアが全ての獣を方舟に受け入れたとき、獣達はノアに服従した。ユニコーンだけがそうしなかった。ユニコーンは自らの力を信じ、「私は泳いでみせる」と言った。四十の昼と夜の間、雨が降った。鍋の中のように水は煮え立ち、あらゆる高みが水に覆われた。そして方舟の舷側にしがみついていた鳥たちは、方舟が傾くと沈んでしまうのであった。しかし、かのユニコーンは泳ぎに泳いでいた。だが鳥達がユニコーンの角に止まったとき、ユニコーンは水中に没してしまった。だからユニコーンは今日ではもう存在しないのだ。–『小ロシア民話』
他の動物に劣らない俊敏さと長く鋭い角を持つユニコーンは、たとえ目の前に現れたとしても近づかない方がいいのだろう。